自由民主党趣旨説明 小島県議
趣 旨 弁 明
私は、自由民主党を代表して、ただいま提案された第三十四号発議案すなわち、北朝鮮による日本人拉致事件の早期全面解決を求める意見書案についての、趣旨弁明を行います。
去る十一月九日から平壌(ぴょんやん)で行われた、北朝鮮による日本人拉致事件を巡る第三回日朝実務者協議は、当初の日程を二日間延長して、関係者から事情を聴取し、あるいは多数の資料や物証を持ち帰り、現在その資料等についての精査が進められていると聞いております。
この協議で、最大の焦点となっていた横田めぐみさんなど安否不明者十名の情報について北朝鮮は「八人死亡、二人未入国」と、従来の主張を繰り返すにとどまりましたが、死亡とされる八人についても、横田さん以外の七人は、死亡した場所が北朝鮮全域にわたっているのに、死亡確認書を全部同じ病院が発行していること。また、松木薫さんの遺骨とされた骨は、平成十三年にわが国で鑑定した結果、全くの別人と判明したことなど、いくつかの虚偽が指摘されております。
また、今回北朝鮮が、横田めぐみさんの遺骨として提供した骨については、横田さんの夫とされる人物が、遺骨を身近に置きたいとして、埋葬されていた遺体を掘り起こし、焼いて骨壷に入れたものとのことですが、その行為は北朝鮮の慣習にはなく、不自然さが指摘されております。
更に、拉致被害者の家族会などが、今回の再調査結果に対して約六十点の疑問点や矛盾点を提出したことや、北朝鮮の体制などを勘案すれば、北朝鮮から持ち帰った資料・物証などについても、その信ぴょう性に疑問を持たざるを得ず、全く誠意が感じられません。
こうした状況から、北朝鮮に対する経済制裁発動の声が、家族会はもとより国民の間からも高まっており、自民党、公明党をはじめ各党から食糧支援の再考はもちろん、経済制裁措置も視野に入れるべき、との声が高まっております。
拉致被害者のご家族や関係者の心中をおもんぱかれば、当然の発言であり、独立国家の最大の責務である自国民の安全確保の観点から、党派を超え、日本国民として、極めて素直な感情であると思うのであります。
本県は、拉致事件に関しては最大の被害県であり、万景峰号の寄港地であります。その新潟県から、まず経済制裁措置の発動を強く訴えていかなければ、国民から新潟県人の人間性を疑われることになります。
拉致事件に対する北朝鮮の態度からは、誠意も反省のかけらさえ汲み取れない状況下で、この期に及んでもなお、対話、話し合いを主張する方々は、本当にそう思っておられるのか、あるいは、他に思惑があってのことか、私どもには到底理解しがたいことであります。
北朝鮮は、情報を小出しにして、日本から援助を引き出したい意向が見え見えであり、これ以上対話だけを続けても無意味であります。
即刻、外為法の発動や万景峰(まんぎょんぼん)号の入港差止めなど北朝鮮に対して制裁措置を加えてから交渉しなければ、問題は絶対に解決しません。
その上で、横田めぐみさん、曽我ミヨシさん、あるいは巻町出身の大澤孝司(たかし)さんなどの消息を徹底究明して、一刻も早く拉致事件の全面解決が図られるようにすべきであり、このことを国会並びに政府に対し、強く求める内容となっておりますので、各党・会派の満場のご賛同をお願い申し上げ、趣旨弁明を終わります。 |