高橋県議インタビュー

【高橋直揮県議】

《プロフィール》
高橋直揮県議は、新潟市西区出身の47歳。ご家族は奥さんと大学生の娘さんがいます。
県議会議員は現在2期目。自身で設立した会社の経営をしながら、政治家としての活動も精力的に行っています。

野村さん どうして政治家になろうと思ったのか教えていただけますか。
高橋県議 最初は政治家になる気は全然無かった。突然ふってわいた話なんですよ。ちょうど、偶然、西区の県議が空席になって、俺も40歳で若かったし、色んな人に声をかけられたけど、半年くらい断り続けた。まさか自分がそんな仕事はできないと。会社もあるし、政治家なんて考えたこともなかった。でも、最後はほんとに、家の周り囲まれるくらいの勢いでやらざるを得ない状況になっちゃって、本当に。
櫻井くん
野村さん
ええ!へえ~!
櫻井くん 政治をやってくれってことで皆さん集まった。
高橋県議 それで、もう俺は逃げられないんだと。それが運命だったら、自分が今まで経験してきたものも含めて、還元できればいいかなと。それも一つの挑戦なのかなって思ったのがきっかけ。
野村さん すごい話ですね。
高橋県議 今47歳なんだけど、30歳のときに自分の会社を起こしたんですよ。建設業なんだけど。それまでは現場の作業員でした。会社起こして、会社がずーっとこう順調に成長していくに連れて、公共事業とかいろいろなことで、やっぱり政治と生活って直結してるんだなって。自分の仕事の中でそれがすごく体感できた。見えてきた。
櫻井くん もともと経営されたんですね。
高橋県議 うん、今もやってますよ。
野村さん あ、今も。
櫻井くん
野村さん
へえ~!
野村さん その、あれですか、二足のわらじというか。
高橋県議 うん。それで、会社を設立して10年目くらいのときに、それまで増収増益で伸びてきてたのが、一回止まった時期がある。それが、民主党政権のとき。公共事業を止められて、ああ、政治ってこんなふうに影響があるんだなっていうことが、まず、自分の中での気付き。仕事をしながら、自分の社員を養いながら、体感しました。政治の重要性もすごい感じたよ。ちょうどそういう時に、偶然やってくれって話をもらって、それで政治家になりました。
櫻井くん 実際政治の世界に出てから、お仕事の仕方とかってなにか変化はありましたか。
高橋県議 仕組みを知らなかったんでね。普通に会社やってて、仕事だけ受注すればって感じだった。でも、生活と政治が直結してるってことを知ると、税金の役割なんかもすごくわかる。政治をやり始めて、後悔は一つもないくらいです。うちの社員は、自分の会社の社長がこういう仕事をしてるから、その仕組みとか、公共事業の重要性とかが分かって、自分の仕事にプライドを持てるんですよ。
櫻井くん 僕たちもなかなか、政治に対してどう関わればいいのかわからないこともあって。今は18歳から選挙権ありますけど本当に若い人たちの声が届くのかなって。まだあんまり政治と自分との結びつきが実感できないと思うんです。
高橋県議 そうだね。若い人の話を政策に持ち込むために、18歳に選挙権年齢を下げたんだよね。今までの政治って年配の人の意見が多かった。有権者も、議員も年配の方が多かったから、若年層の意見はなかなか吸い上げづらかったんですよね。
野村さん そういうイメージはあります。
高橋県議 でも、未来を背負って立つのは若者だから、彼らの政策とか考え方を取り入れなければ、その先なんて見えないよね。年配の方たちの社会保障とか医療費とかそういう部分だけじゃなくて、若者のほうも手厚くしなければって、意見を出すのはやっぱり若者しかいない。俺みたいな比較的若い議員には、どんどん意見をぶつけたほうがいいですよ。
野村さん 若い人の声も聞いてもらえるんですね!
高橋県議 今までは、年配の政治家の人たちと若い人とはなかなか会話する機会って無かった。仮に会話になっても、お父さんとせがれみたいなギャップができて、普通にこういう話ができなくなってしまうんだよね。上から目線になってしまうというか。
櫻井くん やっぱりそういうギャップがあると、自分の意見を届けようという発想が出てこない。こんなふうにね、フランクな立場で話せれば、伝わりやすいのかなと思いますね。
櫻井くん SNSや動画なんかを使って、若い人を巻き込みやすいようなPRをするのはすごくいいなと思いますね。
高橋県議 そうやって近い存在なんだよってことをPRしていかないと、特に自民党ってやっぱりおじさんっていうイメージが強いと思うんだよね。俺とかさ、小林一大さんとか若い議員が、もっと露出しないといけないのかなぁって。これは自分の使命かなと思います。でも、実際遠い感じだよね。こうやって話す機会でもなければね。
櫻井くん あまり身近ではないですね。選挙や政治に関する話題も普段生活していてあまり出てこないです。
高橋県議 そうなんだよね。今の時代はSNSとかいろんなもので発信できる。自民党ってやっぱり古いからね。考え方は偏りがちなんだよね。
野村さん 偏り……ですか。
高橋県議 ああいうのはすごく残念で、最終的なベクトルは一緒でしょう。国民が、あるいは県民とか市民が幸せになるっていうことのね。とかく自民党と立憲民主党とかさ、いろんな政党党派と議論になると、足の引っ張り合いみたいな感じなってしまう。なんかすごく残念で。
櫻井くん お互い非の打ち合いになってるような場面は見ますね。
高橋県議 それはすごく残念。以前、憲法改正の話を年配の人たちとしたんだよ。国民の幸せのためには、憲法を改正したほうがいいのか、それとも今の憲法を守るほうがいいのかっていう議論をまずしなければ、この議論っていうのは進まないですよねっていう話をした。
野村さん そうですよね。
高橋県議 でも、ジェネレーションギャップを感じたことがあるんですよ。年配の人たちって、共産党とか社民党とか、そうやって色をつけたがる。むしろその議論ができるのであれば、色んな人と話をしたいし、考え方も真似できる。だから、あえてそういう人たちの中に入って議論してって、見つけ出したいなって。
櫻井くん 対立構造が基準になっている中では生まれるものも少ないですね。立場とかはいったん全部置いといて、色眼鏡なしで話せるようになると議論も深まりますよね。
高橋県議 そう。猿が何で畑の作物荒らすんだろうっていうのも、猿の中に入って、猿と同じ生活をしたらわかるかもしれないじゃん。でも、猿の方も、人間に対しての対立構造があるかもしれない。自分たちの縄張りを人間に荒らされてるっていうのがあるでしょう。例えば、鳥獣被害なんかは、動物を捕まえて、それをジビエにするとかそういうイメージが先行するけど、守ることも必要かな。
野村さん 相手の立場に立ってみるとか、排除しない方法を考えてみるとか、そういう見方もありますね。
高橋県議 今では用水路はコンクリートだけど、昔は木で出来ていました。木製だと、水草とかの植栽も充実して、ホタルなんかも生息できたけど、今はいないでしょう。それってどうなんだろうね。確かに、用水に使う環境としては需要があるけど、自然の環境を壊すことに繋がっちゃうからね。正解って無いんだよ。
櫻井くん 全部が解決する方法があれば一番なんですけどね。
高橋県議 そう。整備はきれいにすることも重要なんだけど、自然の生態を壊さないやり方っていうのも考えないとね。その場所に合わせたやり方があるのかなぁって。
野村さん 普段の、政治家としてのお仕事はどういったことがメインですか?
高橋県議 政令市だから、県の仕事って限られてるんだけど、海岸と農地とか、そういったのはまだ県がやっています。県の管理下に置かれるもののことを色々しているんですよ。例えば、川の護岸工事に関する要望を聞いたりね。でも、県議だけど市の仕事もゼロじゃない。新潟市近辺の人たちの話とか陳情を聞いたりして、それを県だけじゃなく、市にもお願いしに行くこともある。
櫻井くん 県と市をつなぐのもお仕事なんですね。
高橋県議 あとは、企業とか団体とかに予算をどう使うかとか、こっちの業界に補助、助成をしてほしいとかね。県議会の中では、新しい施策や条例を考えます。そういったことを形にするために、色んな情報を集めて、考えて、勉強会するのも仕事ですね。情報と人とのつながりがなければ、この仕事はできない。だから常に外に出て、そういう情報を入れるんです。
野村さん 人とのつながりで特に大切にしていることはありますか。
高橋県議 相手を嫌いにならない。
櫻井くん ああ~。
野村さん どんな人であっても。
高橋県議 どんな人であっても。自分が嫌いだと、大体相手も嫌いだからね。だから、どんな人でも俺は、好きになろうとは思ってはいないけど、自分が嫌いにならないようにはしてるね。
櫻井くん 自分から心を開かなければ相手も心を開いてくれないですよね。
高橋県議 そうそう。面白いもんで、結構それでうまくいくものなんだよね、人間関係。嫌いにならなかったらいいんだよ。
櫻井くん 政治家に向いてる人ってどういう人ですか。どういうことに長けてる人とかありますか。
高橋県議 うーん、そうだな。臨機応変に対応できる人。ただ、その判断が、正しいかどうか、ありあわせでもちゃんと結果を出せるのか、そこは分からないよね。その人の本気でやるかやらないかの判断だから。
野村さん なるほど、臨機応変に対応できることですか。
高橋県議 マニフェストとか政策のパンフレットとかには、きれいな言葉がいっぱい載ってるじゃん。それを全部実行しようとして、ほんとにできるのかな。しゃべるのが上手なだけでは、信用って出来ないでしょう。だから俺は、この人は嘘をつかないって思ってもらえるような政治家になるように心がけています。
櫻井くん 誠実さみたいなことですかね。
高橋県議 誠実っていう言葉だときれいにまとまっているけど、この人本当のこと言ってんのかなっていう仮面を破る能力っていうかさ、人柄を見極められるようにならなきゃいけないのかなぁなんて。俺はこの仕事もいつまでするかわからないけどさ。
櫻井くん ああ、そうなんですか。
高橋県議 県民、みなさんのために貢献できることってもうちょっと別の道もあるんじゃないかなって。社会の人たち、経済を動かしている人たち、市場で働いている人たち、それに、子どもたちが、新潟で生まれてよかったねっていうプライドを持てるような地域にするための仕事をしたいんです。
櫻井くん 新潟県全体として見た場合にこうしていきたいなって、そういう全体としてのビジョンって何かありますか。
高橋県議 うーん。例えば、これからはAIとかIoTみたいな、第四次産業革命が進んでいきますよね。そうすると、必要のない仕事が増えるっていうふうに言われてる。新潟も、ある分野ではこれからそうなっていくでしょう。でも、新潟が生き残れる理由の一つに、一次産業が強いっていうことがある。
野村さん 特に農業なんかはやっぱり新潟にとって大きな分野ですもんね。
高橋県議 地方はそういうところで生き残っていけると思う。その強みを生かさなきゃいけないね。第四次産業革命が進むことによって、一方でアナログな分野っていうのは必ず残さなきゃいけない部分が出てくる。そこが新潟の大きな可能性であり、最後の砦だと思います。
櫻井くん 新潟にとって、最後の決め手になる。
高橋県議 そう思います。だって、ほかのこと、例えば駅の整備して、インフラ整備して、新幹線通すとかは、他の県でも頑張ってる話なんですよ。新潟では、一次産業の伸びしろっていうのはすごくある。そのためにはやっぱり若い人たちの意見を聞いて、それを政策に反映させなければね。自分の子供にもそう思うけど、新潟に帰ってきたいなって思えるような、そういう地域にしたい。
櫻井くん みんながしていることも大事ですけどね。新潟だからできることをもっとやるべきですね。
高橋県議 新潟にしか無いものとか新潟だから食べられるものとか。それを食べるために新潟まで来ましたっていうものを強くしないとダメだよね。
櫻井くん 僕も新潟にはたくさん可能性があると思います。でも、活かしきれてないんじゃないかなって。もっと魅力のある町にできるんじゃないかと思うんですよ。
高橋県議 街づくりは、よっぽど抜本的やらないとね。大体、駅を中心に街づくりをして繁華街ができるけど、新潟の場合は、昔から港町だったせいもあって古町が繁華街だった。古町も昔は賑わったけど、今は人も減っちゃってるわけ。最近は新潟駅の方に人が集まるようになったり、政令市になって、行く場所の選択肢が増えて、分散化してしまったんですよ。田舎のいい例だよね。
櫻井くん 郊外型のショッピングモールもありますしね。人が集まる場所は確かに分散しています。
高橋県議 可能であれば、新潟空港と佐渡汽船をくっつけて、そこに新幹線を引っ張ってきて、陸と空と海を一か所にまとめる。そうすると観光客とか、海外から来る人たちもとかも、そこを使って新幹線でいくことができるようになるでしょう。あとは駅南にね、アリーナを作って、埼玉みたいに駅に直結させるとか。コンサート、ライブの利便性を良くして人を集められますよね。
野村さん そんなことができたらいいですね。
高橋県議 人口が減ってきて、税収が減ってくると、生活にも支障が出る。それを税収でまかなうのって住んでる人たちだけじゃないんだよ。だから、人を集める仕組みをまず考えなければいけない。で、ビッグスワンとエコスタジアムはもうあそこに出来ちゃってるから、駅南からモノレールで、あっちのスポーツエリアいけるようにするとかね。夢があるでしょ。
野村さん 夢がある。そういうふうに自由に未来を想像出来たら、面白いです。
高橋県議 そんな街があったら面白いなって。そういう夢を現実にしていきたい。夢を語れるのって、やっぱり若者だけだと思うんですよ。年配の人は現実的で、予算はどうするのとか、そういう話が先に来るでしょう。でも、まず夢を語らなければね、そういう未来は無いから。
櫻井くん なんだかワクワクしますね!
高橋県議 そう、ワクワクする。
高橋県議 夢はある?
櫻井くん 僕も、いずれこっちに帰ってきたいなという気持ちはすごい強いですね。僕は、山間地の出身で、山間地の暮らしの現実を目の当たりにしています。だから、そういう現実から不安を取り除いて、山間地の暮らしを良くしたい気持ちが強いです。そういうシステムとかを自分で作っていけたらいいなと考えています。
高橋県議 そうなんだよね。結局、都市周辺だけじゃなくってね。新潟って山間地が多いから、これをどうやって活かすかも課題なのかな。
櫻井くん 野村さんはなにか夢はありますか。夢の話しますか。
野村さん 専門は農業土木なんですけど、この道に進もうと思ったきっかけは、農家さんを支える立場になりたいと思ったからです。少し遠回りではあるんですけど、私の夢は、第一次産業に関わる人をもっと輝かせたいということです。
高橋県議 すごいね。
櫻井くん これまで政治家としてのお話を聞いてきましたが、よろしければ、ちょっとパーソナルな部分も聞きたいなと。例えば、週末どういうふうにして過ごされてるのかとか。お休みって。
高橋県議 無いね。
野村さん お休みは無いんですね。
高橋県議 俺は筋トレが好きなんですよ。だから空いた時間があったら、筋トレしたり、ランニングしたりね。ボブサップを目指してるからね。いや、冗談だけど。
櫻井くん 体動かすのがお好きでいらっしゃる。
高橋県議 そうだね。休みはないけど、まあ、空いてる時間があればそういうふうに過ごしますね。丸々一日なにもないっていう日はね、ほぼない。ゴルフ好きだからゴルフしにもいきますよ。
櫻井くん 若い人で政治とかに興味がある人とか、政治家を目指す若者がいたとしたら、どういう言葉を送りますか。
高橋県議 新聞とかマスコミが報道しているものを、正面から受けるのではなくて、側面から読み解くトレーニングをしてほしいな。ニュースって、削って削ってあの形になる。だから、実際のところって分からないんです。最近は、マスコミって面白おかしく書くことが仕事になっちゃって、真実ってなかなか伝わらない部分があって。真実を見抜くというトレーニングはしてほしいですね。そうすれば仕組みが見えてくる。
櫻井くん 報道されている一部だけじゃなくて、全体を見たり、側面を見たりするんですね。
高橋県議 真実も一緒に見えてくるから、重要なことだと思います。あとは、政治家とか、国とか行政が、自分たちの未来を作ってくれるって思っていたら、それは大きな間違い。あくまでも世の中を作るのは民間人です。世の中を作るために、民間人が政治家を利用するのであって、政治家に対して必要以上の期待はするべきでない。
野村さん 私たちが世の中を作る。
高橋県議 そうであれば一緒に考えていくべきですよね。自分の生活が豊かじゃないことを、社会のせいだとか、誰かのせいにしたがる。でも、それは違うんじゃないかな。確かに政治家は、色んな人達の未来を明るくしようと、努力はしてるつもりです。でも、個々人の環境が幸せかどうかはいろんな考え方があるから、すべての人が同時に幸せになるのは難しいのも当然。
野村さん そうですよね。
高橋県議 俺はね、そういうふうに世の中のことを考える若者を育てることができるのが、政治だと思います。今はなんでこういう状況なのかとか、何で経済がなかなか安定しないのかとか、その時代をしっかり読み取って、社会のために働く若者を育てる事ができるのが、政治の力。これから政治家を目指す人達がいるのであれば、そういう人になってほしいな。
櫻井くん ああ。
野村さん 他人事だと思わないで、社会に参加していくことですね。
高橋県議 世の中を変える、未来を変えることができるかどうかって言うのは、それはわからない。でも、あまり未来に期待するんじゃなくて、未来について考えられる若者を育てるのが政治だと思ってます。政治、選挙も、そいつらが本当にやってくれるのか、嘘ついてないかとかそれを見極めることが、若い人たちは重要なんじゃないかな。

(2018年05月07日 朱鷺メッセ/ロングプロムナード にて)